2012-02-12

Eadie Sedgwick イーディ・セジウィック、Velvet Underground 「Femme Fatale 宿命の女」

イーディ・セジウィック!彼女についてなにから語ればよいのだろうか。両親ともに旧家の出身で、途方もないお金持ちの家に生まれ、恵まれた容姿、長い長い手足、細い身体でダンスが得意でリムジンを乗り回し、彼女がいくところにはいつも大勢の人だかりができていた。ケンブリッジからニューヨークへ、どこへいっても彼女は人気者だった。ウォーホールの、そしてボブ・ディランのミューズだった。

彼女もまた、60年代を体現したスターのひとりであった。ドラッグの過剰摂取による死。身体はボロボロになり精神までもが蝕まれても、イーディは美しかった。なによりとびきり可愛かった。28歳という短すぎる人生はドラッグがもたらした破滅だけではなく、なにか説明のつかないもの、セジウィック家がたどった不思議な運命の下にあったように思える。イーディはその運命から逃れるように、そしてなにかに突き動かされるかのようにもの凄いスピードで60年代半ばのN.Yアンダーグラウンドのアートシーンを駆け抜けていった。



私は60年代を輝いた美しく可憐な女性たちのなかでもイーディには特別な感情を抱いている。ほんとうに馬鹿げた話なのだけれど、誕生日が同じというだけの理由から、イーディと二人だけの秘密を共有しているような気持ちになるときがある。そんな勝手な思い込みがときには私を元気づけてもくれる。特にイーディがこの世を去った年齢に、28歳になった頃から彼女のことを考えることが多くなったように思う。

イーディは60年代のファッション・アイコンでもあったけれど、私が彼女に対する想いはファッションやメイクを真似るというような憧れともまた違っていて、失ったものを惜しむ気持ちに似ている。たそがれのなかで過去を慈しむようなとき、イーディのくしゃっとした笑顔をふと思い出したりする。会ったこともない古い友人のような不思議な感じ。

イーディがもっとも輝いていたのは22歳の頃で、「ヴォーグ」や「ライフ」にレオタード姿で登場している。上の画像は『ヴォーグ』の1965年8月号に載ったイーディ。後ろの馬はイーディ自身が描いたもの。イーディには(というか、セジウィック一族には)美術の才能もあった。馬についてはまたの機会に触れたいと思う。今日はイーディを知ることになった、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「宿命の女」について少し書きます。


ヴェルヴェット・アンダーグラウンドはアンディ・ウォーホルのプロデュースでデビューしたことは有名ですが、自らプロデューサーを申し出たのにウォーホルはバナナのジャケット以外、何もしなかった。ヴェルヴェッツのライブを見て彼らの音が気に入ったものの、実際には音楽畑のことはさっぱりわかっていなかったというのが本当の話で、レコーディングに関してはまるっきり何もわからなかったので、指示を出すとか文句をつけるとか、そのようなことは一切なかったそうである。

そのウォーホルがひとつだけルー・リードに注文をつけたのが、イーディ・セジウィックについてなにか曲を書いて欲しいというものだった。ヴェルヴェッツがファクトリーに出入りする頃にはイーディとウォーホルの関係は終わりに近づいていたそうだけれど、それが「宿命の女」という曲で、ニコがボーカルをとっている。私には「ファム・ファタール」と呼ばれるのはイーディよりもニコのほうがふさわしいように思えるのだけれど、ルー・リードによる歌詞を読むと、そこにはイーディの姿がはっきりとあらわれている。この曲を聴くと、いたずらな微笑みを浮かべた愛くるしいイーディが思い出されていつもほんの少し哀しくなる。でも、ルー・リードにしては珍しく可愛らしいバラードだから大好きでもある。





Here she comes
You'd better watch your step
She's going to break your heart in two
It's true

It's not hard to realise
Just look into her false colored eyes
She'll build you up to just put you down
What a clown

'Cause everybody knows (she's a femme fatale)
The things she does to please
She just a little tease
See the way she walks
Hear the way she talks

You're written in her books
You're number 37, have a look
She's going to smile make you frown
What a clown

Little boy, she's from the street
Before you start you're already beat
She going to play you for a fool
Yes It's true

'Cause everybody knows (she's a femme fatale)
The things she does to please
She just a little tease
See the way she walks
Hear the way she talks


彼女がやってくる
足元に気をつけたほうがいいぜ
彼女はお前の心臓を真っ二つに切り裂いてしまう
本当さ

難しくなんかないさ
彼女の偽りに彩られた瞳をのぞきこんでみな
彼女ったらお前を持ち上げてやりこめるつもりだぜ
なんてピエロなんだ

みんなが知ってるんだ (彼女は宿命の女)
喜ばせるためにしてることさ
彼女は小さないたずらっこ
ほら、彼女の歩き方を見てみろよ
なあ、彼女の話し方を聞いてみろよ

君のことは彼女の本に書いてあるぜ
37ページだよ、見てごらん
彼女は君を困らせるために微笑むんだ
なんてピエロなんだ

かわいい坊や、彼女はストリートの女の子
始まる前から君はすでにお手上げさ
彼女は君をからかって遊ぶだけ
本当だぜ

みんなが知ってるんだ (彼女は宿命の女)
喜ばせるためにしてることさ
彼女は小さないたずらっこ
ほら、彼女の歩き方を見てみろよ
なあ、彼女の話し方を聞いてみろよ





イーディ―’60年代のヒロイン
ジーン スタイン ジョージ プリンプトン
筑摩書房

イーディ写真集 girl on fire (P‐Vine BOOKs)
メリッサ・ペインター&デイヴィッド・ワイスマン
ブルース・インターアクションズ

Velvet Underground & Nico
Velvet Underground & Nico
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The Velvet Underground
A&M (1996-05-07)

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