2012-01-27

au revoir simone(オー・ルヴォワール・シモーヌ)ガーリーな佇まいもまた、良し


au revoir simone http://aurevoirsimone.com/(音楽が流れます)

au revoir simone(オー・ルヴォワール・シモーヌ)はNY、ブルックリンを拠点に活動するガールズトリオによるエレクトロバンド。メンバーはエリカ・フォスター、ヘザー・ディアンジェロ、アニー・ハートの3人で、2003年に結成された。バンドの名前からてっきりフランスの女の子たちだと最初は思っていたのだが、au revoir simoneというバンド名はティム・バートンの『ピーウィーの大冒険』にでてくる台詞からとったものだという。現在までにミニアルバム1枚、フルアルバム2枚、remixアルバム2枚、Kitsuneというフランスのレーベルから出ているコンピアルバムにも参加している。

彼女たちのサウンドは、ひとことで言うと「ノスタルジア」ということになるのだそうだ。アニエス・ベーやデヴィッド・リンチが早くから注目し、彼女たちのサウンドを絶賛しているところをみると、「ノスタルジア」というも表現もあながち間違いではないだろう。

もしかすると私はまだ彼女たちが言うところの「ノスタルジア」を感じるほどの年齢ではないのかもしれないが、初めてau revoir simoneのサウンドを耳にしたときのことを想い出すと、今でも胸がワクワクするようなときめきをおぼえる。きらきらと光の中を降りて来たあたたかな音のなかに、ときおり氷雪をふきつけたような冷たさが入り混じり、ドリーミィーなサウンドが一転してミステリアスな顔をのぞかせる。しかしそれは長くは続かず、センチメンタルな気持ちとともに再び心地良い夢のなかに誘うのであった。


彼女たちの活動は『verses of comfort, assurance & salvation』にはじまる。これは2005年3月に米英よりいちはやく、日本で先行リリースされている。全8曲、30分にも満たないミニアルバムだが、実質の1stアルバムと言っても申し分のない出来映えだと思う。実のところ私は彼女たちのアルバムではこれが一番好きなのだ。もちろん次回作に比べると、いまひとつ突き抜けた感じに欠ける地味なアルバムだけれども、彼女たちのガーリーな面が特にあらわれた、等身大の彼女たちらしいアルバムだと思う。おそらく初めての試みであるがゆえ、好きなサウンドをあるだけ詰め込んでいったのではないかと推測するのだが、意図的に全体的なまとまりは無視されているような印象さえ与える。ぜひ、少女の机の引き出しを上から順にそっとあけるような感覚で聴いて欲しい。チープな打ち込みが楽しいM2:Hurricanesや重厚なオルゴールのようなM6:The Winter Song、幕切れにふさわしい切ないM8:Stay Golden、すべてが魔法のようで、タイトルにもあるassurance & salvationな曲が必ず見つかるはずだ。






そして、彼女たちの知名度を高めたのが、本デビューのフル・アルバム『The Bird of Music』(2007年)である。mina perhonenのテキスタイルを使用したジャケットが日本では有名になり、私もminaのワタリドリにひかれ、思わずジャケ買いしてしまった人間のひとりである。彼女たちのことを知るきっかけになったのもこのアルバムである。収録されている「The Lucky One」が邦画『きみの友だち』の劇中歌に使用されていたり、日本ではライヴの衣装もmina perhonenが手掛けるなどして、ガーリーな佇まいも手伝って、彼女たちはデビュー間もなくしてすっかり話題の人であった。


このアルバムは2年前に出されたミニアルバムとは違って、なにか明確なコンセプトに基づいて作られたもののように感じられる。『Bird of Music』というタイトルどおりの、底抜けに明るい空と眩しい日差しの下で、女の子たちがあれもこれもと好き勝手にお喋りしているようなシーンが浮かんでくる。アルバム全体をとおして前作よりも厚みをもち、あたたかみのあるサウンドが一輪花のようにぱっとひらいて、おもちゃ箱をひっくり返したようなさまざまな音色がおはじきのように広がる。コーラスワークが美しいM1:The Lucky One、リズミカルな打ち込みとはうらはらにセンチメンタルな気持ちになるM2:Sad Song、ロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」のイントロそのまんまのM5:A Violent Yet Flammable Worldなど、空を駆け巡る夢を見ているかのように幸せな気分に浸れるアルバムになっている。




2009年に発表した『STILL NIGHT, STILL LIGHT』は前作とは真逆のコンセプトに基づいてどこか深いところに潜って製作でもしたかのような、ジャケットの雰囲気そのままの世界が聴ける。サウンドそのものは変わっていないのだが、彼女たちが変わろうとしているなにかが見え隠れするような、一種の危うさを秘めたアルバムのようにも感じられる。彼女たちはこのアルバムを引っ提げて、日本でのアニエス・ベーの25周年イベントでパフォーマンスを披露している。彼女たちの音を愛するアニエスからじきじきにオファーがあったとのこと。国内盤のシュリンクにはアニエス・ベーのコメントが入ったシールが貼られていた。こういうちょっとしたものでも私は捨てられず取っておいてしまうのだが、ちなみにどのようなメッセージが書かれているかというと、「oh! オー・ルヴォワール・シモーヌ...とても才能があって、可愛いあなた達3人が大好き!」(agnes b.)




そんなわけで、私も彼女たちの新しいアルバムを首をながくして待っているファンのひとりである。個人的には彼女たちのガーリーな佇まいと、ファッションも大好き。彼女たちを見ているとやっぱり髪伸ばそうかなあとか、思ったりするんですよネ。


The Bird of Music
The Bird of Music
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Au Revoir Simone
RALLYE (2007-04-14)


Still Night Still Light
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Au Revoir Simone
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