またもやだいぶ脱線したが、私はアメリカ映画も好きである。そして私も例に漏れず、ジョニー・デップが大好き!なのである。しかし彼の出演作を観たのはだいぶ遅く、『パイレーツ・オブ・カリビアン』で文字通り大スターになってからだ。そこであまのじゃくな私は、あえて『パイレーツ〜』を最初に観ることは避け、彼のフィロモグラフィーをさかのぼって観ていくことにした。するとジョニー・デップという人はとても不思議な俳優だということが(今さら言わなくても誰もがそのように感じているだろうけれど)ことさらに浮き彫りになってくるのであった。
『パイレーツ〜』という映画は、どのシリーズを観てもその面白さはジョニー・デップが演じるジャック・スパロウというキャラクターに依るところが大きい。私は二作目の「デッドマンズ・チェスト」が一番好きで、普通に主役かと思いきや、主演であるジョニー・デップの立ち位置が絶妙である。オーランド・ブルームとキーラ・ナイトレイは基本的に一組でロマンスを展開するのだから物語の中心からブレないのだけれど、ジャック・スパロウはなにやら脇で一人チョロマカしている印象の作品なのだ。ジャック・スパロウという人物は基本的にはヒーローである。しかしヒーローでありながら同時に道化でもあり、すごいことをしながら面白いこともしてしまう。そしてアンチ・ヒーロー的な一面も持っている。そんなとんでもないキャラクターをジョニー・デップはいとも簡単に演じてみせるのだが、そのジャック・スパロウのキャラクターこそが、ハリウッドにおけるジョニー・デップの俳優としてのスタンスを見事にあらわしているのではないだろうか。
ジョニー・デップの過去のフィロモグラフィーはどれも作家性の強い佳作が多く、自ら好んでそういった作品に出演してきた俳優だということがわかる。ティム・バートンの映画だって『エド・ウッド』(1994年)なんてのはB級感が強すぎてけっこうひどい。それでも彼はドル箱映画が主流のハリウッドでいまだにスターの型に外れた反体制的(と書くと大袈裟かもしれないけれど)なことをしていたりする。『パイレーツ〜』への出演が決まったとき、ジョニー・デップはハリウッドに魂を売ったと嘆いたファンも大勢いたと聞く。しかし『パイレーツ〜』のジャック・スパロウのキャラクターというのも、実はハリウッドにおける彼自身の立ち居振る舞いを反映しているがゆえに魅力的にうつることは確かで、ジョニー・デップという人は子どもが生まれて父親になろうが、歳を重ねるごとに角がとれて丸くなったとしても、根本的な部分はぶれたりしないのである。それどころか新作が公開されるたびに、いまだに彼はいつもファンをドキドキさせたりハラハラさせたりする。
私は大半の作品が後追いになってしまったけれども、これから歳を重ねられ、俳優として進化し続ける彼を追いかけることができるのは幸せである。いつの時代も素敵だけれど、93〜95年頃の容姿がもっとも美しくて、その澄んだ少年のような瞳にはいつもほれぼれしてしまう。一番上の画像は93年頃で下は95年頃である。93〜95年というと、出演作もラッセ・ハルストレムのやさしい作品からジム・ジャームッシュの詩的で繊細な作品まで、私の好きな映画が並んでいるのも嬉しい。
こういった少しミーハーな記事もたまには良いかなと思っています。大好きな俳優、ミュージシャン、作家、男性に関する記事は「天井桟敷より愛をこめて」というカテゴリでこれから綴っていきたいと思います。女性はすでに「私のミューズ」というカテゴリで綴ってあります。
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