2012-02-21

私の好きなソフト・ロックのアルバム(4)マーゴ・ガーヤン『テイク・ア・ピクチャー』(1968)


クロディーヌ・ロンジェとならんで大好きな、ウィスパー・ヴォイスの持ち主であるマーゴ・ガーヤン。クロディーヌの歌声ほどガーリーな甘さはなく、どこかフランソワーズ・アルディーの持つ知的さと物憂げな雰囲気を彷彿させる歌声の持ち主なのですが(アルディよりも明るく前向きな印象の曲が多いけれど)、大学在学中にアトランティック・レコードと契約を交わして一度はレコーディングを行うもうまくいかずにシンガーとしてのデビューを見送られたという経歴があります。しかしその時に同レーベルのジャズ・シンガーにマーゴのオリジナル曲を提供するという形で、ソングライターとしてのキャリアをスタートさせています。そして彼女もまた、ビーチ・ボーイズの「God Only Knows」『ペット・サウンズ』に影響を受けたアーティストのひとりでありました。

マーゴ・ガーヤンはこれまで生年月日は公表されていないが、おそらく1940年代前半〜半ばにニューヨークの郊外に生まれ、両親の影響で幼い頃からピアノを習うなどして音楽に親しんでいた。大学時代にジャズに傾倒し、プロのソングライターとしての活動もジャズの世界であったのだが、あるときピアニストの友人からビーチ・ボーイズの「God Only Knows」を聞かされ、深く感銘し衝撃を受ける。この出来事がマーゴをジャズに傾倒して以来疎くなっていたポップスの世界へと向かわせることになった。

1968年に彼女はシンガーとして唯一のアルバム『Take A Picture』をリリースしますが、売上げはあまりふるいませんでした。しかし彼女の曲をカバーしたアーティストは数知れず(アストラッド・ジルベルト、マリー・ラフォレ、クロディーヌ・ロンジェ、スパンキー&アワ・ギャング、セイント・エティエンヌ、我が日本ではピチカート・ファイヴなどなどなど...)ソングライターとして注目を集めることになる。マーゴはアルバム一枚を発表したあと結婚して第一線からは立ち退き、ピアノの先生として活動していたようです。


ビーチ・ボーイズに影響を受けたといえども、マーゴのアルバムはこの時代を彩っていたハーモニーを効かせたサイケデリック調のロックとはまた趣きが異なります。マーゴの出世作でそのほか多くのカバーがある1曲目の「Sunday Morning」や5曲目の「Don't Go Away」などは特にマーゴお得意のジャズの要素が色濃く反映されたナンバーだし、なんといってもやはりマーゴのハスキーなウィスパー・ヴォイスで歌われる歌詞の内容が、セックスとドラッグによる幻想(幻覚?)がもたらす少年の悶々とした苦悩を歌った当時あまたのバンドのものとはまるで違うからで、マーゴの歌詞はどの曲もポジティブで普遍的な愛を歌っています。そんなマーゴに私はキャロル・キングを重ねてしまうのですが、マーゴの世界は可愛らしい歌声ゆえに少女の持つ繊細さや脆さも感じさせるのです。もちろんこのアルバムがリリースされた当時マーゴはもはや少女とよべる年齢ではないと思いますが、なにせアルバムのジャケットが本当に可愛いらしいので(というかこの時代の女性って私にはみんな可愛くみえるんですよね)、数少ないマーゴの写真を拝見しながらまたうっとりしてしまうのでした。








TAKE A PICTURE
TAKE A PICTURE
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マーゴ・ガーヤン
プライエイド (2000-06-21)

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